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Galaxyが韓国メーカーのスマホだと日本で広く知られていない理由

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日本でも人気の高いスマホ「Galaxy」ですが、Galaxyが韓国メーカーのスマホで
あることが若い世代を中心に意外と知られていません。

ではGalaxyが韓国メーカーのスマホであることが知られていないのはなぜかを中心に
Galaxyについて詳しく見ていきましょう。

     
   

Galaxyはサムスン電子のブランド

Galaxyは韓国の電子機器メーカーである「Samsung Electronics(サムスン電子)」の
ブランドです。

スマホ以外にもタブレットやスマートウォッチ、ワイヤレスイヤホンなどでも
Galaxyのブランドが使われています。

サムスン電子は韓国の四大財閥(サムスン・現代自動車・SK・LG)の1つで、
四大財閥の中でもトップの資産額を誇ります。

2010年にはサムスン電子の売上高が韓国GDPの22%に達しており、
まさに韓国経済界を支える大企業なのです。

半導体の世界的なトップベンダーでもあり、
薄型テレビや中小型の有機ELディスプレイのシェアは世界一となっています。

スマホは日本ではAppleの後塵を拝していますが、
世界ではサムスン電子がAppleを上回るシェアを獲得してこちらも世界一です。

サムスン電子の躍進には日本が関係している?

世界では人気でも日本ではあまり人気がないサムスン電子製品ですが、
実はサムスン電子と日本には浅からぬ関係があります。

サムスン電子の親会社であるサムスングループの前身三星商会の設立者は
日本の早稲田大学の出身(中退)です。

貿易会社だった三星商会が事業を拡大する中、
電機事業へ進出するのに日本の三洋電機やNEC、住友商事が協力しています。

また日本でバブルが崩壊した1991年には
 ・東芝
 ・松下電器(現パナソニック)
 ・三洋電機
 ・シャープ
 ・NEC
など日本の大手メーカーをリストラされた日本人技術者を大量にサムスン電子が
引き受けました。

もちろんサムスン電子の躍進は企業努力が一番の大きな要因ですが、
日本企業や日本人技術者も少なからず貢献しています。

Galaxyは韓国とベトナムで作られている

日本で購入できるスマホのGalaxyは韓国とベトナムで作られています。

Galaxyの主な生産工場は
 ・韓国
 ・ベトナム
 ・インドネシア
 ・インド
 ・パキスタン
にありますが、日本向けの製品は主に韓国とベトナムで作っているのです。

韓国ではハイエンドモデルを中心に製造、
ミドルレンジモデルはベトナムで作られています。

ちなみにインドネシア・インド・パキスタンではエントリーモデルのGalaxyを作っています。

スマホなどの電子機器製造と言えば近年は中国が多いですが、
中国にはGalaxy生産工場はありません。

かつては中国にもGalaxyの工場がありましたが、中国国内でのGalaxyの需要が
低下したことで中国でのGalaxy製造から撤退しています。

日本と世界のGalaxy人気のギャップ

日本でのGalaxy人気を考えると、サムスン電子がスマホのシェアで
世界一となっていることに違和感を覚えるかもしれません。

日本ではiPhoneが圧倒的な人気で、2022年度も2023年第一四半期も
50%を超えるシェアをAppleが日本では獲得しています。

サムスン電子の日本におけるスマホシェアは、
2022年第一四半期こそAppleに次ぐ2位だったものの通年では5位に沈みました。

世界ではほとんどシェアを獲得できていないシャープやソニーの後塵を拝しており、
日本ではGalaxyはそれほど高くないことが分かります。

しかし世界に目を向けると、お膝元の韓国はもちろん
 ・ベトナム
 ・イラン
 ・UAE
 ・メキシコ
 ・ブラジル
 ・アルゼンチン
 ・ポーランド
 ・エジプト
 ・南アフリカ
でスマホシェア1位を獲得しているのです。

東南アジアや西アジア、ヨーロッパ、オセアニアではサムスン電子がシェア2位を
獲得している国が多くなっています。

日本ではGalaxy人気はそれほど高くありませんが、
世界的にはiPhoneと熾烈なシェア争いを演じるほど人気です。

Galaxy人気が高くない国は日本以外にもあるものの、
日本のスマホ市場は世界からは特殊と見られています。

日本で「Galaxy=サムスン電子」の認識が薄いのはなぜ?

初代iPhoneが発売されたのが2007年、初代Galaxyが発売されたのが2010年です。

この頃から日本でのスマホ利用率が4割を超える2014年頃までにスマホを
使い始めた人は、Galaxyがサムスン電子のスマホであることを知っているはずです。

ところが2015年以降にスマホを使い始めた人は、
Galaxy=サムスン電子という認識が薄くなっています。

ではなぜ2015年以降にスマホを使い始めた人にGalaxy=サムスン電子の
認識が薄いのかと言うと、Galaxyからサムスン電子の名前から消えたからです。

2015年3月までに発売されたGalaxyには、
サムスン電子のロゴである「SAMSUNG」が使われていました。

TVなどのメディアでのGalaxyの広告にも「SAMSUNG」のロゴが使われており、
この時点ではGalaxyがサムスン電子のスマホであることは明白だったのです。

ところが2015年3月以降に発売されたGalaxyには「SAMSUNG」のロゴが無くなり、
広告でも「SAMSUNG」のロゴは使われなくなりました。

公式サイトのURLもsamsungからgalaxyに

Galaxyからサムスン電子の名前を消すことは徹底されていて、
公式サイトのURLも「samsung.com」から「galaxymobile.jp」に変更されます。

URLが変更されたのは日本版公式サイトのみで、
日本だけでGalaxyからサムスン電子の名前が消されていたのです。

Galaxy本体や公式サイトからSAMSUNGの文字が消えたわけですから、
Galaxyとサムスン電子の関係を知らない人が居ても不思議ではありません。

なぜGalaxyからサムスン電子の名前を消したのか?

Galaxyからサムスン電子の名前が消えた理由は、
ひとえに「日韓の関係悪化」にあります。

政治レベルでの話ですが、2012年夏頃から日韓関係に亀裂が生じ始めます。

2012年12月に日本で政権が交代、2013年に韓国で大統領が交代したことで
新たな関係が構築されて日韓関係が改善されることが期待されました。

ところが2013年に日本側と韓国側で意見対立が起こり、
2014年から2015年初頭にかけて日韓の亀裂が大きくなっていったのです。

日本で韓国に対する反発(あくまで政治レベル)が高まり、韓国製品が日本で売れなく
なることを懸念してGalaxyからサムスン電子の名前を消したものと思われます。

結果的には民間レベルではK-POPや韓流ドラマの流行などで若い世代を中心に
韓国への反発は少なく、日本で韓国製品の不買運動は起きませんでした。

2023年からサムスン電子の名前が復活

2015年から消えていたサムスン電子の名前が、2023年からGalaxyで復活しています。

2023年以降に発売されるGalaxyには「SAMSUNG」のロゴが刻印され、
電源ONOFF時に表示されるロゴもGalaxyからSAMSUNGに変わるのです。

公式サイトのURLも「galaxy.jp」→「samsung.com」となり、
SNSの公式アカウントやメールマガジンのアドレス、アプリにもsamsungが使われます。
(参照:https://www.samsung.com/jp/support/newsalert/125589/)

2022年に韓国大統領が交代したことで日韓双方に関係改善の機運が高まり、
2023年になって日韓の新たな関係構築が期待されます。

元々民間レベルでは悪くなかった日韓関係が政治レベルでも改善されたことを受けて、
Galaxyにサムスン電子の名前を復活させたのではないかと思われます。

     
   

Galaxyに危険性は無いのか?

韓国製品に限らず、スマホを選ぶ際には危険性の有無を気にする人も多いです。

Galaxyは基本的に安全に使えるスマホなのですが、不安な点がいくつかあります。

1つは「発火リスク」で、日本では幸い発生していませんが
世界ではGalaxyが発火するトラブルが何件か発生してます。

主なものとしては
 ・2016年 アメリカと韓国で「Galaxy Note7」
 ・2021年 イギリスで「Galaxy A02」
 ・2022年 イギリスで「Galaxy S22 Ultra」
がそれぞれ発火するトラブルが発生しているのです。

イギリスで発生した2件については、落下やサードパーティ製の充電器使用といった
ユーザーの使い方に原因がありました。

2016年に発生したトラブルはGalaxyのバッテリーが原因で、
サムスン電子の責任と言えます。

日本で販売されている機種と海外版とは仕様が違うため、
日本で販売されているGalaxyの発火リスクは低いです。

しかし世界でGalaxyの発火トラブルが発生しているので、
これからGalaxyを購入する際には慎重に検討せざるをえません。

セキュリティリスクも発見されている

2022年には、
Galaxyを含むサムスン電子製のスマホにセキュリティリスクが発見されています。

Galaxyなどにプリインストールされている「Galaxy App Store」に脆弱性が発見され、
第三者にスマホを乗っ取られる危険性があるとのことです。

Android9~12のバージョンを搭載したスマホが対象で、
サムスン電子のスマホ以外は影響を受けません。

Galaxy App Storeを更新することでリスクは回避できますが、
ユーザーとしてはGalaxyの使用に不安を感じてしまいます。

まとめ

この数年はGalaxyの広告からサムスン電子の名前が消えていたため、
Galaxyとサムスン電子の関係を知らない人が少なくないのです。

2023年からはGalaxyの広告にサムスン電子の名前が復活しており、今後は
Galaxyがサムスン電子のブランドであることが日本でも広く知られていくはずです。

   
   

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